模試の役割
模試の成績で一喜一憂するのは受験生の常ですが、
長期的な学習目標を阻害する形で
模試対策を行うのは避けたいものです。
この点については前回扱いました。
しかしそれでは、模試の役割とはいったい何なんでしょうか。
そういう次第で、今回は模試の役割について
今一度確認しておきたいと思います。
まず、その時々に実施される模試成績の評価は、
スタートラインにおける御自身の学力によります。
あなたが高校三年生で、今が夏であるならば、
浪人生の方が平均して高い成績を取るのは自明のことです。
また、春から本格的に受験勉強を開始して
学力を伸ばしている最中であれば、
他者との比較もさることながら、以前の成績と比べて
現在どれほど成績が伸びているかというのが大事なポイントになります。
このように、模試の成績を、
① 他者との相対的距離(判定も含む)
② 自身の学力成長の確認
という観点で利用することは、異論のないところだと思います。
模試の成績は現状を把握する上で大変役に立つものですし、
上記二点をわきまえたうえで参照するのであれば大変有益な手掛かりを
私たちに提供してくれるものです。
しかしながら、模試の成績をこのように有効活用できていない方も
残念ながら多く見られます。
気にし過ぎてメンタルを乱す方、軽視して適切な対策を講じない方など、
模試の結果を有効活用できない方は枚挙にいとまがありません。
模試の成績はあくまで一つのデータです。
模試の成績がよいから本番での合格が保証されるわけではありませんし、
E判定だからと言って不合格確定というわけでもないのです。
適切に利用することが肝要なのです。
模試が持つ、もう一つ重要な役割は、
疑似的な受験環境を提供してくれることです。
不特定多数の受験生と見知らぬ空間を共にし、
自由の利かない空間で長時間にわたって試験を受ける経験は、
出来る限り多く積んでおきたいところです。
成績が取れないからと、模試を避ける人がいらっしゃいますが、
受験は他の受験生との勝負の場です。
誰かが受かればその分合格者の席が一つ減るのです。
この競い合いの場を提供してくれるのが、模試なのです。
他の受験生との競り合いで負けないメンタルを養うためにも、
模試はどんどん受けるべきです。