模試に振り回されず、模試を活用する学習計画
受験生の中には、「もうすぐ模試があるから模試対策をする」という人がいます。
ふたを開けてみると、基礎学力が形成途上でよくわからない分野があるにもかかわらず、
貴重な模試の過去問をひたすら消費する場合がかなり見られます。
これはとても残念なことです。
学習計画は究極的には入試で合格することにフォーカスを当てて立てるべきものであり、
いつ模試があろうとも、その時の学力そのままで臨むのが一番合理的だからです。
長期的学習目標があり、それに沿って学習予定を組んでいるのに、
いちいち一過性のイベントのために学習予定を見だすことなど、非合理的です。
まだ全範囲の基礎学習が終わっていない人の場合、
いの一番にやるべきことは未修範囲をなくすことです。
共通テスト対策など形式に合わせた学習はもちろん大切なのですが、
基礎学力がないのに取り組んでも思ったような効果は上がりません。
それでは目先の模試は完全に放置しておいて、
長期的視野に立った学習計画を遂行すればよいのでしょうか。
結論を言えば、これは一つの正解です。
すでに現在の学習計画に則った受験勉強がうまくいっている場合、
それをつらぬけば必ず成果は出てきます。
しかし模試は、上手に使いさえすれば全体的な学習効用を補強する形で
活用することができます。
私がお勧めしたい模試の活用法は、
模試までの期間で間に合う課題を設定し、
模試において達成度を測定するというものです。
例えば8月25日には第二回全統記述模試があります。
あと13日後ですね。
この短い期間で学習できる分量は限られます。
そこで、自分の弱点分野だけに特化して学習を進めるのです。
例えば物理で波が苦手だというのであれば、波の学習を集中的に行う。
化学で酸化還元が心細いのであれば酸化還元まわりを復習する。
数学で空間ベクトルに不安があるのであれば空間ベクトルのメニューをこなす。
短い時間でできることを、
残り時間と課題とのバランスを考えて設定し、実行するのです。
これは長期的計画の欠点である緻密さと緊張感の欠如を補い、
全体的な効用を増大させます。