英語中卒レベルから一年で合格できるのか(3)- スピーディーかつ正確に英語長文を読解せよ-
高3ゴールデンウィーク前には英語の問題を解く際に
知性よりも野生の感、
知識や技術よりもすぐれた推測力をフル動員していた彼。
学年でたった一人しかとることを許されない、
最下位に君臨していた彼。
それが今や、模試で偏差値60に迫ろうとしていたのです!
たった4ヶ月ですごい成長ぶりです。
まあ京大合格には67.5以上の偏差値が欲しいところなのですが。
しかし彼には弱点がありました。
長文を読むのがとても遅いのです。
御存知の通り共通テストでは長文が読めなければお話しになりません。
考える時間が比較的取れる二次形式であればまだよいのですが、
共通テストとなるとお手上げです。
この弱点を克服するために、
私たちはある訓練に着手しました。
それは見開きの長文(だいたい600~700ワード)を
速音読するというものです。
英語が苦手な人間にとって、長文問題は大変つらいものです。
彼も例外ではありませんでした。
そこで速音読の出番です。
意味が解ろうがわかるまいが、出来る限り早く音読していくのです。
目指すは分速200ワード。ネイティブスピーカー並みの速度です。
(やってみたらわかりますが、長文になるとこんなに早く口が回りません。
あくまで目指すだけで結構です。)
4月末の彼でしたらこのトレーニングは苛酷に過ぎたと思います。
いくら発音をめちゃくちゃに読んでいいと言われても、
accompaniedを「あっ・・こんぱ・・ぱにえ・・パニエド?」と
たっぷり3秒かけて読み上げているうちは、
長文速音読は革靴を履いて登山をするくらい危険です。
しかし今の彼は違います!
厳しい訓練の結果、単語もスラスラ読めるようになってきました。
最初は短めの文章から始め、徐々に1段落、2段落と伸ばしていきます。
すると不思議なことに、あれほど苦しかった長文問題が、
かなり楽に解けるようになってきたのです!
そうこうしているうちに季節はあっという間に冬になり、
彼の勉強は共通テスト準備に傾斜していきました。
そして共通テスト当日。
彼は苦手な英語で、見事80%を突破したのです。
「やった、先生、やったよ! やったー!!!」
自己採点報告の彼の声も、
私の鼓膜を破らんばかりに興奮していました。
しかし彼の試練は実はここからだったのです。