スケジュール管理型学習サービスで注意するべきこと
最近よく目につくようになった「学習管理塾」のように、
授業ではなく学習計画作成と進捗管理をメインとする
スケジュール管理型学習サービスは、
・受験までの広い視野で自分の学力向上を見る習慣を養う
・学習意欲が高まる
といった長所があります。
また、授業を提供することが主体ではありませんので、
・費用を抑えることができる
点も魅力的ですね。
ただ、受験勉強は受かってこそですし、
費用を安く抑えても余分に一年浪人することになった場合、
完全に逆効果となります。
そのあたりはどうなのでしょうか。
気になりますよね。
私自身も日頃からスケジュール管理サービスを提供しておりますので、
今回は提供者目線で「学習管理塾」を利用する際に、
気がつきにくい点、注意したい点を挙げていきます。
【学力向上サイクルから見た場合の強みと弱み】
学生・受験生が学力を形成していくうえで、
・目標設定
・学習計画作成
・知識のインプット(授業・参考書・問題集など)
・知識の定着(自習)
・アウトプット訓練(テスト等)
・フィードバック(採点答案の返却・コメント)
という学力向上サイクルを効率的に回していくことが大切です。
この観点に立った場合、
スケジュール管理型学習サービスは、
・目標設定
・学習計画作成
・知識の定着(自習)
に深くかかわってきます。
これを見れば、「学習管理塾」の強みと弱みが
一目瞭然で分かりますよね。
強みはずばり「計画性」です。
これについては何度か触れましたので割愛します。
一方、授業等のインプットについては
どうしても弱くなってしまいます。
授業を提供する場合は普通の授業型の塾・予備校と
同じ土俵に立つこととなります。
【授業サービスのポイント】
授業サービスがうまくいくかどうかは
・講師の腕(個人技)
・塾・予備校のサービス(組織力)
の二点にかかってきます。
講師の腕を考える場合、
・教える科目に関する知識
・教務実績
が重要になります。
教科の知識がなければ教えられませんし、
豊富な経験がなければ生徒を伸ばす力も限られます。
多くの学習管理塾では学生講師がメインで活躍しています。
優秀な学生講師はそれなりにいますが、
経験だけはどうしようもありません。
効果的な授業サービスを提供するには組織力が欠かせません。
ここは「学習管理塾」だけでなく、
あらゆる塾・予備校選びに通じるところです。
【計画から成果を引き出すのは自分自身】
学習管理サービスを利用する際に注意すべき第二の点は、
「伸び方は自己責任である」ということです。
学習管理サービスが提供するのはあくまで
・学習計画 ・進捗確認 ・質疑応答 ・カウンセリング
がメインです。
直接受ける授業が少ないか全くない場合、
与えられた学習計画からどれだけのものを習得するかは、
学習者本人の能力次第です。
具体例を出して考えてみましょう。
皆さんが苦手な科目を一つ考えてみてください。
3ヶ月分の学習計画を出されて勉強にトライしたとしましょう。
どこまで伸びるでしょうか?
もちろん映像授業を使っていただいて構いません。
学力を上げるにはそれこそ多くの学習管理塾がうたうとおり
「自習の質と量」が大事です。
しかしこの「自習の質と量」を高めるためには、
参考書や問題集を十分活用するだけの理解力が必要です。
映像授業も見たり聞いたりするだけで力になるなら苦労しませんので、
活用するにも工夫がいります。
受講者本人の理解力がカギなのです。
例え計画通りに学習が進んだとしても、
中途半端な実力しか身に着いていなければ、
合格できるだけの答案作成は困難です。
そもそも学習サービスを利用するのは、
「自分に足りないものがある」という自覚があるからです。
その「自分に足りないもの」の中には、
「自分一人の理解力では難しい内容を習得しきれない」
という「理解力不足」も含まれます。
生徒の「理解力不足」の問題は授業提供型の塾・予備校でも
悩ましい問題ですが、
学習管理サービスはこの「理解力不足」を補うことが特に苦手です。
質疑応答があるとおっしゃるかもしれませんが、
質疑応答だけで体系的な知識や思考力を身に着けることは困難です。
授業を通じて直接的に生徒の抱える問題点を把握しきれないため、
有効な解決策を提示するのが難しいからです。
こういう次第で、授業提供型にくらべ、
スケジュール管理型学習サービスはどうしても
受講者の自己責任となる比重が大きくなるのです。