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京大過去問と中島敦「文字禍」

中島敦は漢籍に明るい文学者で、33年という短い人生の中で

「山月記」「李陵」「弟子」など味のある作品を残しており、

今でも根強く読まれています。

さて、そんな中島敦の「文字禍」にふれた問題を、

東大と京大どちらも同じ年に出題したことがあります。

東大の問題は歴史論でしたが、京大は文字通り

「文字禍」からの出題でした。

この京大の問題がユニークで大変面白く、

ちょっと受験現代文の主流からはずれた

出題の仕方をするのですね。

どういうことか。

一般に受験現代文の出題は、

全体つまり文脈との関係で傍線部を説明させる

というのが主流です。

同値関係や対比関係、因果関係などを

整理し、文脈の流れを押さえながら

解答を作成してくのがセオリーです。

ところがこの年の京大は違いました。

例えばこんな感じです。

「文字ノ精ガ人間ノ眼ヲ喰ヒ荒ラスコト、

猶(なお)、蛆虫(うじむし)ガ胡桃(くるみ)の

固キ殻ヲ穿(うが)チテ、

中ノ実ヲ喰ヒツクスガ如(ごと)シ」

について、その内容を分かりやすく述べよ。

※150字前後で解答します。

この問題は全体との関係を押さえることに

あまり意味がありません。

ここからだけで答えられる問題です。

(もちろん全体との絡みで答えることもできますが、

それだとこの部分の風趣が台無しになる可能性が

あります)。

こういう、受験国語の盲点を突く、それでいて

しっかり国語力も問う問題を京大はたまに

出してきます。例解については次回公開します。