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「国立大学の学費を150万円に」から思うこと

【発言の背景】

去る2024年3月27日に開かれた

「第四回高等教育の在り方に関する特別部会」で、

慶應義塾長の伊藤公平先生が、

「国立大学の学納金を150万円に上げる」ことを

提言しました。

以下にリンクを貼っておきます。

① 高等教育の在り方に関する特別部会(第4回) 配付資料

② 【資料2-1】大学教育の多様化に向けて(伊藤委員提出資料)

「国立大学の学費100万円値上げ」提言のインパクトが大きいため、

なぜこのような発言がでてきたのかがよくわからなかったので

資料を見てみました。

どうも議論の内容は、

・ 大学進学者の66,2%を占める文系学生の学習時間が短い

・ 問題解決のため、学部4年+修士1年で構成されるディプロマコースを新設し、

  教育を高度化しよう

・ 大学教育の高度化にあたり、費用が掛かる。

・ 国公立大学の学費を100万円増額すれば大学の収入が増える

・ 国公立と私立の間で学費の差がなくなり、

  両者の間で公正な競争が可能になる

・ 家庭の収入状況は考慮する

というもののようです。

発言された伊藤公平先生の主旨は、正直上記のことからは測りかねます。

ただせっかくですので、学費問題について思うことを少し書いていこうと思います。

【教育は「課金ゲー」という側面】

学生がいい大学や医学部に行きたいとします。

現代では公教育だけでなく、塾や予備校、個別指導と言った「私教育」が

特に都市部で充実しています。

私教育にはお金がかかりますので、

塾・予備校・個別指導に通える方とそうでない方の間に差が生まれます。

大都市圏では特に教育サービスが充実していますので、

大都市圏と非大都市圏との間にも大きなギャップが生まれています。

国公立大学の学費を150万円にすれば、進学そのものをあきらめる方も

出てくるでしょう。

奨学金その他の手段を考慮するとのことですが、

大学受験準備についてはどうするのでしょうか。

まさか全く私教育を利用しないというのでしょうか。

それで大丈夫な人もいるでしょうが、

ダメな人もいるので私教育はあるのです。

そのあたりのところはどうなのかなと思います。

国公立大学の学費を150万円にすれば、「教育=課金ゲー」という構図は

ますます進み、教育水準の二分化が進むでしょう。

【教育は機会平等を保障するものだったはず】

そもそも教育は機会平等を保障するものだったはずです。

富める者も貧しき者も、財産や出身に縛られることなく、

実力で評価される、その実力形成の一部を教育が担っていたはずです。

EUにおける大学授業料は、EU加盟国市民の場合無料です。

アメリカでは普通の大学の学部でも日本の私立大学医学部並みの学費がかかります。

予算等もあり、単純な問題ではないことは承知していますが、

社会の分断ではなく機会均等を促進するのであれば、

欧州よりに学費無償化に舵を切ったほうがよいように思います。

こういうお話しは物事の一面だけ見てもよくわかりませんので、

引き続き注目していきたいと思います。

学生がお金の心配をせずに

受けたい教育を受けられたらいいなあ!